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■特集■ 売れ筋ライター インタビュー第1回
  ~shigeさん

待ち合わせ場所に着くと、会ったこともないのに、遠くからこの人だとわかった。大きな目の奥につよい光。オープンな声。ピンクと、茶色と薄紫色を重ね着していた。黒髪にレイヤー、ミディアムショート。
WooFoo.net売れスジランキング2位(05年8月5日現在)。

■読む子から書く子へ
   読書家だった親の影響か、物心ついたときから本が好きでした。3歳のときにはウサギさんとクマさんの物語をつくってたし、小学校のころから通信簿に「授業中に空想の世界に飛ばないように気をつけましょう」なんてしょっちゅう書かれてた(笑)。今、文章をつづるのが好きなのはきっと、真っ白ならくがき帳に何を書こう!とワクワクする気持ちの延長ですね。

 日記のような、思ったことや詩のようなものを大学ノートに書き始めたのが15歳くらいのとき。1年ほど前に、その溜まった文章を出したくて自分のHPを立ち上げました。自作の小説や、好きな音楽について書いた日記をアップしてます。「作品を読んだ出版社からスカウトされたらどうしよう」なんてドキドキした時期もあったんですけど、今のところそれはないです(笑)。

 「スパナ」というフリーペーパーのライターもしてます。面白いなぁと読んでいたらちょうどライターを募集していたので、メールで問い合わせたのが始まりです。占い師の取材にも行ったりして「作家になりたいんです!」って言ったら「オーラがない」って言われました(笑)。

 でも、やっぱり書きたいのは小説ですね。理由は、なんとなく、としか言えません。つい最近、初めて長い原稿を書き上げたんです。120枚です。

  わたしにとって短編は、カメラのシャッターを押すように、瞬間的に世界をとらえた断片。それに対して長編は、フィルムのなかの世界、でしょうか。小説を書くことは、品物がたくさん並ぶ雑貨屋さんで、買い物かごのなかに、好きなものを入れていく作業に似ています。「高価だからコレは入れない」なんて躊躇(ちゅうちょ)する必要はないので、わたしの小説には自分の好きなものがズラズラ入ってます。自分で読み返すのが一番楽しいかもしれない(笑)。!


■透明人間になりたい!けど、なりたくない
   わたし、都会が好きなんです。人がたくさんいるから。他人の生活を垣間見られるスーパーテレビの「夜の歌舞伎町」特集とか、団地の窓の灯りを見るとワクワクする。透明人間になれたら、いろんな人の生活をつぶさに見てまわっちゃいます。ときどきティッシュ配りのバイトをするんですけど、自分を消して人混みのド真ん中に立てるから、透明人間みたいに堂々と人や街を見られてすごく面白い。

 でも「この人にとっては、わたしなんて単なる透明人間だ」と落ち込んだこともあるんです。俳優のAさんを見かけて握手してもらったときでした。むちゃくちゃ存在感のあるAさんにひきかえ、あたしは何者でもないただの女の子。おんなじ人間なのに、この格の違いはなんなんだ、みたいな。Aさんの目にあたしは映ってなくって、透明人間になっちゃったみたいでした。テンパって握手してもらってる田舎者のあたしの周りで、他の人は見て見ぬふりをしていて。ナニやってんだろうあたし、抜け出さなきゃ!と思ったんです。

 120枚書き上げたあと、それまで読んだことのなかった島本理生さんの作品を初めて読んで、ショックだった。かぶってしまっているところがいくつもあったんです。そりゃあ、題材も話の筋も違いますよ。でも、この年頃の女の子が見つめている世界なんて、大して変わんないんです。恋愛があったり、成長過程での葛藤があったり、「ただの女の子」としての経験値が一緒なんです。それだけに、筆者自身の生活とまったくかぶらない世界(「池袋ウエストゲートパーク」など)の小説を書いている石田衣良さんなんかはスゴイなぁと思っちゃいます。



■今は、良し悪しの判断はしない
   歌手をめざしている同い年の友達がいるんですけど、所属事務所から自分の好きな音楽を聴くことを禁じられたんです。詞も曲も自分で書く子で、それまでは青春パンクみたいな曲が好きだったのに「まわりと同じものを聴いていてはいけない。竹内まりやとかカーペンターズとか異世代の曲を聴きこんで違いを出すことが大事なんだ」と言われたそうです。彼女自身、最初は違和感のあった曲の良さが「だんだんわかってきた」って言ってる。

 今のわたしは、自分自身にくっついてる題材からしか書けていない。もっと想像の幅を広げて、いろんなことを作品に入れなくっちゃとバタバタしてます。1ヶ月に15冊は読むようにしてるし、読んだ本はすべて、 気になったフレーズをノートに抜き書きしてる。きっと、無意識に集めたいろんなことが小説ににじみ出てくると思うので。

 好きな作家のひとりに米国のフランチェスカ・リア・ブロックがいます。ロックコンサートに行ったり、毎日に退屈したりしているような、普通の女の子の日常を扱っているんですが、とにかくカラフルで、目の裏に残像が残るくらいヴィヴィットなんです。高校の図書館で出会ったときのショックは鮮烈でした。カラフルさといえば、蜷川実花の写真にも猛烈に惹かれる。それに対してわたし自身は、とにかく今「どう書けばいいのか」という絶対基準を探しているのと平行して、(文学賞の)応募規定にクリアするだけの量を集中して書くのがせいいっぱい、という感じですね。今は、良し悪しの判断を自分で下して立ち止まったりせず、とにかく書くようにしていますね。

 ライブに行くのが好きなんですけど 、ステージに立っている人が24~25歳だって聞くだけであせっちゃうんです。私の数年後は、あんなふうにちゃんとがんばれているんだろうかって。まったく先の見えない進路にドキドキします。昔、大学の先生に「あなたにとって小説は何?どうして小説じゃないといけないの?」と聞かれて答えられなかった。大学4年間でその答えをなんとか見つけたい。

■で、WooFooはどうよ?
 
 わたしは書くことに対して思いつめているところがあるから、友達がさらりと書いたものがすごく良かったりするとへこみます。たとえば音楽には技術が要るけど、書くことなんて誰にでもできるし、わたしなんて裸の王様なのかなぁって。だから、WooFoo.netで自分の書いたものが買ってもらえると「やったァ!」って感じです。自分の書いた文章が買い取ってもらえるということは、すごく自信につながりますね。

 最初は(カテゴリーが)あまりに漠然としているから何を書いていいのかわからなくて、「感想文を書けばいいの?商品広告ならいいの?」ってすごく戸惑いました。でも(購入企業の運営サイト)E-CIRCUSの掲載作を見て、物語っぽいものや、エッセイでもいいんだなと思って投稿してみました。初めて買ってもらったときはうれしかった。投稿した文章が売れないときは、他の人の作品を読めないし、価格設定もわからないっていうのが不安になりますね。一番売り上げてる人の作品が売れていないときは「担当者がまだ見てないのかな」なんて思って次の投稿をためらって、誰かの作品がひとつでも売れていたら、またあわてて投稿する、みたいな(笑)。他の人の場合、どんな作品が売れ残っているのかが気になります。

 いつかヴィレッジ・ヴァンガードみたいなところで、かわいい雑貨のような感覚でわたしの書いたものが売れたらいいなぁと思ってます。読書も書くことも一人の行為だけど、写真の得意な人が装丁をして、絵の得意な人が挿絵をしてくれて、というふうに友だちとワイワイ言いながらやっていけたら楽しそう。そうやって、本をきっかけにして、ライブみたいに、みんなでひとつの表現を作り上げることができたら言うことないです。(談)


プロフィール shige
■1986年佐賀県生まれ。
東京在住。大学2年生。
好きな作家はフランチェスカ・リア・ブロック、石田衣良、吉田修一。 好きなバンドはザ・ハイロウズ、フジファブリック、サニーデイ・サービス
URL http://cqcq.babyblue.jp/
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